衆議院選挙の行方と国債金利の上昇 (2026/1/28)
今回の国政選挙ではどの政党も消費税減税を打ち出して票を取ろうとするが、自民党を含めて言っていることに大した差がない。野党は声を大にして減税を叫ぶが、財源をどうするのか具体策が見えない。要は、どの党も減税を餌に票集めに必死だ。
しかし、市場は今の財政状況を厳しい目で見ている。パンデミックの終焉以降、長期国債の利回りは急激に上昇している(図参照)。遂に、40年物国債の利回りが4%を超えるに至った。今更ながらの話であるが、日本国の借金は先進国の中で異常な水準にある1/。これだけ借金が増えれば、国の財政に対する市場からの信頼は揺らぐ。その結果、政府が発行する国債の利回りは上昇する2/。
とりわけ、ここに来て金利が4%を超える水準に跳ね上がったのはなぜだろう?異常な借金体質が続く中で、政府、つまり高市政権が積極財政を表明したことにある。
世の中には日本国債は国内で消化しているので、かつてギリシャが経験したような財政破綻は起きないとお気楽なことを言うは多いが、そう簡単な話ではない。破綻は起きなくとも国債の金利は上がる。国債金利に連動して、民間が銀行から借りる金利、あるいは新発社債のクーポンも上がる。
果たして、国債は国内で消化できているのだろうか?ストックベースつまり既発債を誰が持っているかでいえば、海外投資家が所有する比率はおよそ11〜12%くらいだ3/。つまり、海外の投資家が所有する国債比率が現状で低いという意見は正しい。
しかし、フローベースで見るとその姿は大きく変わる。これまで国債を購入してきた国内の金融機関(銀行、生損保、年金基金など)、そして市場から国債を買い上げてきた日銀の存在は既に消えている。逆に、海外投資家の存在が大きくなっている。2025年でいえば、海外投資家が長期国債を購入した比率は53%で、コロナ禍以前の22%から跳ね上がっている3/。彼らは安定的な国債所有者ではない。短期的な利益を追うので、その行動は市場環境を敏感に反映する。
次に金利が上がったらどうなるのか。経済のイロハで言えば、景気を抑制する。企業は支払利子が重く、投資を押さえる。同様に住宅ローンの金利上昇は庶民の懐に重くのしかかる。それは消費税の減税を大きく上回り、生活への直接的な打撃となる。簡単な計算をしてみよう。食料品に係る消費税がなくなると、どの程度の負担軽減になるかという試算を目にする。標準的な家庭をモデルに、5万円から6万円と言った金額だ。しかし、住宅ローローンを3000万円借りている家庭では、金利が0.5%上がれば年15万円の負担増になる。つまり、支払金利の増加で食料品に対する消費税減税で手にした金額など簡単に吹き飛んでしまう。これが金利の恐ろしさだ。
財政への不安や国債利回りの上昇は為替レートにも影響する。もし、円安が進むことになれば、輸入品の価格上昇を招き、インフレを加速する。
政治家が安易に口にする消費税の減税や廃止は、国民にとって実に心地よい言葉であるが、代替財源の目処がないまま財政のバラマキを続ければ、金利上昇とインフレの加速というもっと恐ろしい事態が待っていることを理解した方がよい。
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対DGP費で234.9%(2025年) https://www.mof.go.jp/zaisei/financial-situation/financial-situation-01.html
2/
支払利息が上がるのではなく、取引される額面が下がるということである、例えば額面100円の国債が市場で99円、98円と言った価格で取引され、実質利回りが上がる。
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その他、日銀が46〜47%、国内投資家が41〜42%。
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The
Economist Jan 21st 2026